肥満症は現在コンパニオン・アニマルに最も多い疾病です。
体内の脂肪組織の過剰が、様々な健康上の問題を引きおこします。太りすぎの彼らは、一般に肉体的苦痛が大きく、寿命が短くなります。肥満によって彼ら自身も行動が束縛され、以下のような問題を引きおこし、病気を悪化させる可能性が、多大に考えられるようになります。
1) 関節炎・股関節形成不全・脊椎椎間板の問題及び靱帯破裂などの歩行運動に関する障害
2) 呼吸器の病気(気管支性喘息 他)
3) 心疾患(心肥大 他)
4) 肝疾患(脂肪肝 他)
5) 糖尿病
6) 便秘・過剰ガス・膵炎を始めとする消化器系の疾患
7) 手術・麻酔時に於ける危険率の増加
8) 熱不耐性(熱射病)
9) 皮膚病
10) 精神過敏症(不快感を催すもの)
11) 感染症(特にウイルス)に対する抵抗力の低下
12) 運動耐性の低下(悪循環となって肥満を促進する)
減量計画を成功させる秘訣は、飼い主であるあなた自身とコンパニオン・アニマルである彼らに関わっている全ての人々が、減量の必要性を強く認識することです。この計画は真剣に取り組む意思がないと単に時間・労力・お金の浪費に終わってしまいます。肥満の管理には、食べた量以上のカロリーを燃焼させる必要があるので、カロリー摂取量を減らして運動量を増やさねばなりません。太り過ぎている状態では過度の運動は適切ではないので減量計画を始める前に獣医師などに相談することです。
食べることだけがこの子の生き甲斐なのに、そんなに苦しくて可哀想な思いをさせる位だったらいっそ好きなモノをタンと食べさせて早死にした方がマシ」 などと考える人がいるとすれば、それは飼い主である当人のエゴです。
「うちの○○ちゃんはジャーキーしか食べないの」そんなことは決してありません。明らかなる勘違いです。お腹が空けば食べます。美味しくない処方食でも必ず食べます。本来野生であれば、お腹が空いた勢いで食べ物を探しに行くのです。我儘を貫き、彼らが数日絶食をしても心配無用 死にはしません。(具合が悪くて食べられないのは例外です)これを食べなければきっと美味しいものが出てくると飼い主の気持ちを見抜いています。ほんのヒトクチだけ・・人間サイドのヒトクチは、犬にとって大福数個の一気食いに相当する場合があることを知って下さい。いざというときに後悔しないためにも心を鬼にして共に頑張りましょう。
家庭内で肥満の管理を行う場合には、以下の注意を守って下さい。
1) 家族会議を開き、この説明書の内容・減量の目的及び目標・そして目標達成に必要な事項を検討する。家族全員の協力が必要であることを強調する。
2) 指示された減量用のフード以外一切なにも与えない。食べ物を盗み食いできない場所に置く。肥満で苦しませるより、食物を我慢させる方がずっと人道的です。
3) 家族の食事中にも決してそれらを与えない。最初は文句が出るでしょう。でももらえないと言うことが理解できれば欲しがらなくなります。うるさくせがまれたときは叱る位の気持ちで対処して下さい。
基本的に人間の食事中はケージの中がよいかと思います。
忍耐強くしかも断固たる決意で給餌を行うことが大切です。彼らは勝手に冷蔵庫を開けて盗み食いをしたりしません。お金を持って隠れて買い食いなどもできません。減量計画を適切に実行すれば大事な家族の一員である彼らを健康に生活させ、そして寿命を延ばすことができるのです。
彼らの健康そして幸せを望むなら、理想体重を達成し、それを維持するように辛抱強く正しい給餌を続けましょう。 |
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